堂 
ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 攻略 『裏』

縮緬聖戦劇場Vol.35 〜売り払わなくてよかった、の巻〜
セリス軍、軍議にて…
…というわけで、全体の軍議はこれでお開きとします。
ただ、部隊を率いる方と神器の継承者は残って頂きます。
 
   承知した。
  ふむ。
   セリス様、明日のブルーム王との決戦に向けて
作戦を練るのですね!
うん。軍の要となる者の動きを
もう一度確認しておきたいからね。
 
  ふーん。じゃあ俺は用済みだな。
部屋に戻って寝るとすっか!じゃあな。
あ、ちょっと待って!
ファバルにも残ってもらいたいんだけど…。
 
  ん…?俺は別に部隊は率いて無いし
そんな大層な武器も持っていないんだが…?
いいか、ファバル。お前の持つその弓は聖弓イチイバル
十二聖戦士の弓使いウルが用いた由緒ある弓だ。
  
  なっ!?なにっ…!?
この弓が…?
そしてお前は弓使いウルの血を引く
選ばれし聖戦士なのだ。
 
   ええっ!?この俺が聖戦士……!?
キャー!お兄ちゃん、聖戦士なの!?
セリス様やシャナン様と同じ!?
わっ、わっ、スゴーイ!!

えっ?じゃあ、あたしも聖戦士様の妹!?
キャー!!シビれ〜る〜〜!!
 
あぁもう、ちょっとパティ…落ち着いて。
…ってファバル。知らなかったのかい?
 
  知ってるも何も、俺は孤児の出だ。
そんな高貴な血が俺に流れているなんて…。
そんな立派な装飾の弓を持ってれば
周りの人から何か言われなかったの?
 
  いや…。…だが今なら思いあたるフシはあるな。
年上の傭兵仲間から「若造が生意気に良い弓持ちやがって」
とか言われてイチイバルを取り上げられたんだが、
その男は「弓を引いたら金縛りにあった」とか言ってたな。
別の男は「見た目が良いだけの重いお飾り武器だな!」とも。
何故か俺だけが使いこなせたんだが、
やたらめったら素早く動けたり体は薄っすら光ったり。
うむ。神器は選ばれし者にしか扱えないが
聖戦士の血を引く者には絶大な力を与えるのだ。
 
  オマケに俺が持ってる時だけホカホカあったかいから、
周りの傭兵達からも
「その弓は人を食う、悪魔が宿った弓だ」とか
「寄るな、曰く付きの怪しい武器に貴様は呪われたんだ」とか
「戦場で目立って敵が寄ってくるからお前は来るな」とか
散々邪険にされてたっけ…。
なっ、なにッ…!?  
   この弓のおかげで要らぬ苦労まで背負い込んだから
中古屋に売っ払おうとしたり…
ちょっ…待てっ!  
  ある時は秋の収穫祭の時くらいは孤児院の子供たちに
菓子を食わせてやろうと思って
近隣の村の雑貨屋で焼き菓子と物々交換しようとしたり…
お、おいおい…!  
  でもどういう訳か手放そうとすると
決まって俺から離れるのを嫌がるみたいに
俺の体に
ピタッとくっついて離れなくなるんだ。
なんか「やめて…私を捨てないで…」とか
頭の中に声が響いてさ。

そんときゃ本気で俺、呪われたと思ったもんだけど…
うん、
捨てなくて良かった!
孫の手代わりに欲しがってた農家のお爺ちゃんもいたよね。
あの時
大根と交換しなくて良かったね、お兄ちゃん!
 
  うん、うん。いやあ、マジで良かった!
『ホカホカあったかくてピカピカ光る孫の手』
この俺にしか使えないんだからな!
へへっ、パティ。お前には貸さないぞ?
あーっお兄ちゃん、ずるーい!!
いいないいなー、私も欲しいな〜。
『ホカホカあったくてピカピカ光る孫の手』!
 
  へへ〜ッ。この孫の手は俺にしか使えない〜♪
残念だったな、パティ!はっはっはー!!
ハァ…、お前ら、神器をなんだと…。  
は、はははは…。  



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