私のお姉さまが海賊にさらわれてしまったの。
だから早くお姉さまが見つかりますように、って
神様にお祈りするためにシスターになったのよ。
それでおばさまは見つかったの？
バーハラでの戦いでまた生死もわからなくなってしまったけど…、
大丈夫！私の家系は何故かとっても運がいいの。
だから、今もきっとどこかで生きてるって母さんは信じるわ。
私もシスターになろうかしら…。
あなたのやってみたいことをやってみてもいいのよ？
ウォーリア！！
私、斧を振り回して戦いの最前線で
セリス様をお守りしたいわ！！
そんなに驚かなくても大丈夫。
私、ラクチェよりもずっと力持ちだもん。
この前、腕相撲でもセリス様やスカサハを秒殺したんだから！
オイフェさんも「ラナは戦いの素質があるかもな」って言ってたし。
鋼でできた戦斧を「うおー！」って振り回して、
敵陣に「どりゃー！」って『突撃』かましちゃうんだから！
ウフフ、もう考えるだけでワクワクしちゃう…！！
えぇと、ラナ。さすがに母さん、びっくりしちゃったわ…。
あのね、私のお姉さまは海賊と言っても弓を使ってたのよ。
さすがに女の子が斧はどうかしら……。
あなたの体格ではきっと斧の重さに負けてしまうわ。
シャナン様がセリス様に稽古をつけてる時、
「武器は力任せに振り回す物ではない」って言ってたよ？
あ、それにウォーリアなら弓も使えるから、
母様が心配しなくても大丈夫ね！
あのね、ラナ。この村には斧を専門に戦う人がいないの。
やっぱり良いお手本が無いと
ゆくゆく苦労するんじゃないかしら…？
兄様だってほとんど独学で弓の練習をしているのよ。
私は誰も足を踏み入れてない未開の荒野を切り拓くの！！！
（いけない。この子、その気になってるわ）
（何とかしないと、そのうち本気で斧を振り回しかねない…）
（ああ、どうしましょう……？）
私が敵をなぎ倒して、ラクチェとスカサハが後に続く！
私が敵を引き付けて、兄様とデルムッドがトドメを刺す！
私が露払い役になって、セリス様が敵将を討つ！
ふふっ、女戦士ラナの名を世界に轟かせるのよ！！
「お嫁さんにするならエーディンみたいな清楚なシスターがいいな」
………って。
……そっかあ、じゃあラナ、シスターになろうかなぁ。
セリス様がそう言うなら私、シスターになる。
うん、やっぱり女の子は恋に生きなきゃダメよね。
そうと決まったら「善は急げ」よ。
明日からラナも杖を使う練習をしましょうね！！
（まったく、『口は災いの元』ね……）